猫ちゃんのオシッコがとれません、という飼い主さんが多いと思いますが、ポイントをおさえれば意外とカンタンに採尿することができます。大切なのは、猫ちゃんに負担をかけずに採尿できるかどうか。
自宅でできる採尿のコツや実際の尿検査の様子を、山本宗伸先生の愛猫・カツオちゃんに協力してもらい教えていだきました。
山本 宗伸 先生
都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。国際猫医学会ISFM、日本猫医学会JSFM所属。著書多数。人気ブログ「ネコペディア」を運営。
尿検査をするには、オシッコを液体の状態で採る必要があります。飼い主さんが自宅で採った尿を動物病院に持ちこんでも検査はできます。ただし、オシッコの採り方や保管状態によって検査結果に影響する場合があるので注意してください。
※自宅採尿の持ち込みによる検査についてはかかりつけの獣医師にご相談ください。
大切なことは、できるだけ猫に負担をかけないこと。また、失敗しにくい方法を選ぶこともポイントです。
採尿には、いくつか方法がありますので、トイレタイプや愛猫にあわせた方法でチャレンジしましょう。
猫がオシッコをしている時に、お玉で直接キャッチします。猫が警戒して我慢しないように注意しましょう。
猫砂の上にビニールシートを敷き、たまった尿を採ります。砂が混ざらないように砂の量やビニールのシートの位置を調整しましょう。
ペット専用の採尿器。排尿時にうしろから忍ばせ、尿を濡らします。
猫に負担がかからず、採尿に失敗することも少なくカンタンです。
システムトイレは、シートを敷かずに使用すると、チップ(砂)を通過した尿を引き出しに溜められます。
猫は普段通り排尿するだけなので、ストレスを与えずに簡単に採尿ができます。
「尿検査のための採尿をシステムトイレで行う場合、清潔にしたトレーや新しい砂(チップ)で行ってください。砂(チップ)は、通過しても尿の成分が変わらないものを選ぶとより良いです。」
システムトイレやお玉などで採った尿を、密閉容器に入れて、動物病院に持っていきます。動物病院で専用の容器をもらえる場合もあるので、事前に相談してみてください。
システムトイレやお玉などで採った尿を、密閉容器に入れて、動物病院に持っていきます。動物病院で専用の容器をもらえる場合もあるので、事前に相談してみてください。
ポリ袋などに入れて、すぐに動物病院へ。採尿日時も忘れずに記録を。
「猫のオシッコは時間経過とともに変化するので、排尿後は3~6時間以内に動物病院に持っていくとよいでしょう。どうしても時間が空いてしまう場合は、冷蔵庫で保管しましょう。冷蔵保存(4℃)であれば1週間経っていてもそれほど変化しないという報告もあります。」
病院に持ち込まれた尿は、すぐに検査機器で分析し、多くの場合、その日のうちに診断結果が分かります。尿スティック(試験紙)による検査や、顕微鏡での観察をします。猫は泌尿器の病気になりやすいので、とても重要な検査です。
顕微鏡で、細菌や結晶などの有無を観察
尿スティック(試験紙)で、潜血や尿pH、尿糖、尿比重などを評価
山本先生の愛猫・カツオちゃんは泌尿器の持病があるので、定期的に尿検査を実施しているそうです。日常ではシステムトイレを使っているので、日々のオシッコチェックも簡単に。
猫ちゃんにも、飼い主さんにも負担がかからない方法で、オシッコチェックを習慣に!
オシッコチェックの方法 >
自宅採取した尿で、もし検査で異常が見つかった場合、さらに動物病院での精密な尿検査を行います。
病院での採尿法には「カテーテル」「膀胱穿刺(ぼうこうせんし)」などがあります。最もきれいな尿が採れ、猫の負担が比較的少ない方法として、「膀胱穿刺」採尿が主流となりつつあります。
エコーで膀胱を確認しながら、注射針で直接、膀胱から採尿します。
おなかに当てた超音波をガイドに、注射針を刺します。
膀胱に尿がたまっていないと採尿できなかったり、激しく動く猫ちゃんでは難しい場合があります。